ECサイトを運営していると、クレジットカードを不正利用した注文を受けるケースが少なくありません。
特にブランド品やトレカのような、商品単価が高く、換金性の高い商品を扱うECサイトは不正注文のターゲットになりやすい傾向にあります。
Shopifyでは、全ての注文に対して不正注文リスクの判定アルゴリズムで監視しており、注文リスクを低・中・高の3段階で評価してくれます。
ECサイト運営者はこの不正注文リスクを検討材料にして、注文処理を進めるか、もしくはキャンセルするかなど対応を判断します。
弊社では、チャージバックリスクの回避を優先事項とし、不正注文リスクの高い注文については基本的にキャンセルする運用方法をご提案しています。
もし不正注文リスクの高い注文をすべてキャンセルするというのであれば、自動でキャンセル仕組みを導入した方が楽ですよね?
今回は、ShopifyアプリであるShopify Flowを使って、不正注文リスクの高い注文を自動キャンセルする仕組みの導入方法をご紹介したいと思います。
Shopify Flowとは
今回利用するShopifyアプリであるShopify Flowについて簡単に説明しておきます。
Shopify Flowは、Shopify公式がリリースしているアプリで、Shopify内で行われる様々な処理をきっかけにして発動する自動処理を作成できます。
フローの作成画面は処理の流れをブロックとして管理することができますので、プログラミングの知識がなくても自分が実装したい処理を作れるような仕組みになっています。(ただ、細かい説明とかは英語なので英語が読める必要はありますが…)
事前に用意されたテンプレートが充実
なんとShopify Flowは、一般的によく使われる処理フローのテンプレートを事前に用意してくれています。
全部英語なので探すのはちょっと大変かもしれませんが、簡単にでも英語を読めるようであれば自分の求める処理フローテンプレートを見つけられると思います。
今回説明する高リスク注文の自動キャンセル処理についてもテンプレートが用意されていますので、後ほどこれをベースに説明していきます。
Shopify Flowのインストール
下記リンクのShopify App StoreからShopify Flowをインストールします。
(https://apps.shopify.com/flow)
Shopify FlowはShopify公式の無料アプリですので、安心してインストールできます。
Shopify Flowで自動キャンセル処理を実装
ここから本題の『不正注文リスクの高い注文の自動キャンセル処理』の実装方法を説明していきます。
自動キャンセルテンプレートの利用
まずは、Shopify Flowのダッシュボード画面を開いてください。
ワークフローの一覧表示エリアがありますので、ここの「テンプレートを閲覧」ボタンを押します。
あらかじめ用意されているテンプレートの中に「Cancel high-risk orders」というものがありますので、こちらを選択して開いてください。
テンプレートを開いたらこんな感じのデフォルトの処理フローが表示されます。
右上の「インストール」ボタンをクリックし、新しいワークフローとして編集していきます。
自動キャンセル処理の流れを解説
テンプレートからインストールした処理フローの中で、不正注文の可能性の高いをどのように自動キャンセルしてるかを説明していきます。
1. 注文リスクの分析
処理フローのスタートは、注文リスクの分析から始まります。
これはShopifyが提供している不正注文のリスク分析をトリガーとしています。
この注文リスク分析により、不正注文リスクが高い(HIGH)と判断されたら次の処理へと進みます。
不正注文リスクが低と中の注文については、このあとの処理は実行されず、そのまま受け付けることができます。
2. 該当の注文にキャンセルのタグを付ける
不正注文リスクが高いと判断された注文に対して、「High risk cancelled」というタグを付けます。
このタグはあくまでも自動キャンセルの識別用としてのタグになりますので、このタグ名は任意の文字に変更することもできます。
Add order tagsのブロックをクリックすると、細かいメニューが表示されますので、タグの追加やデフォルトのタグ名を変更をするときは、ここから設定してください。
3. 注文をキャンセルする
次に該当の注文をキャンセルしてくれています。
Cancel orderのブロックをクリックすると、こちらも細かなメニューを開きます。
このメニューでは、注文のキャンセルとともに「Send a notification to the customer(注文者への通知)」「Refund(返金)」「Restock items(在庫への補充)」を行うかの設定や該当注文へのメモ追加などを設定できますので、自動注文キャンセルでどこまで対応させたいかを検討して設定してください。
4. 顧客情報へのタグ追加
次に不正注文リスクの高い注文を行った顧客に対して、「High risk」タグを付与します。
こちらも自由にタグ名を設定できますので、ECサイトを運営する中で管理しやすいタグ名とすることも可能です。
5. 不正注文リスクの高い注文を自動キャンセルしたことを管理者に通知
最後に管理者宛に、不正注文リスクの高い注文を自動キャンセルしたことをメール通知して一連の処理が終了となります。
設定メニューを開いて、Email addressに通知先のメールアドレスを入力してください。
また、デフォルトだとメール文面が英語になっていますので、必要に応じて文面を日本語に入力しなおすといいかもしれません。
自動キャンセルワークフローの有効化
フローの追加など特にカスタマイズすることがなければ、右上の「ワークフローをオン」ボタンをクリックしてください。
有効化の前に確認メッセージが表示されますので、「オン」ボタンを押して高リスク注文の自動キャンセル処理フローを有効化してください。
Shopify Flowダッシュボード画面で先ほど作成したワークフローを一覧で管理することができますので、こちらで現在どのワークフローが有効になっているかを確認できます。
まとめ
ということで今回はShopifyの公式アプリであるShopify Flowを使って、不正注文の可能性の高いリスクある注文を自動キャンセルする仕組みの実装方法を解説しました。
ECサイト運営をする中でクレジットカード不正利用のターゲットになる可能性はゼロではありません。
もし不正注文を受注してしまい、気づかずに進めてしまうとチャージバックを受けて、思わぬ損失を被ることになってしまいます。
今回説明したShopify Flowの自動キャンセル処理を導入することで、不正注文を排除し、チャージバックの負担を回避できる安全なECサイト運営を行いましょう。
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